相続は財産を次世代に引き継ぐ大切な手続きですが、事前の準備が不十分な場合、家族間のトラブルに発展することがあります。遺産分割や財産管理をめぐる争いを防ぐには、被相続人が生前から対策を講じておくことが重要です。
本記事では、相続トラブルを防ぐための具体的な生前対策について解説します。
このページの目次
相続トラブルの主な原因
相続トラブルが発生する主な原因には以下のようなものがあります。
1. 財産の内容が明確でない
- 被相続人の財産がどれくらいあるのか、どこにあるのかが分からない。
- 財産が不動産などの分割が難しいものばかりである。
2. 遺言書がない、または不明確
- 遺言書が存在しないため、法定相続分に基づいて分割することになり、不満が生じる。
- 遺言書の内容が曖昧で解釈が分かれる。
3. 相続人間の意見の対立
- 特定の相続人が多くの財産を受け取ることに不満を持つ。
- 生前の特別な援助(特別受益)や貢献(寄与分)に対する認識が一致しない。
相続トラブルを防ぐ生前対策
以下の対策を講じることで、相続トラブルを未然に防ぎ、円満な相続を実現することができます。
1. 遺言書の作成
遺言書を作成することで、財産の分割方法を明確に指示することができます。
遺言書の種類
- 公正証書遺言(おすすめ)
公証人が作成し、法的に有効性が高い。 - 自筆証書遺言
作成が簡単だが、形式の不備で無効となるリスクがある。
遺言書作成のポイント
- 財産の分け方を具体的に記載する(例:「〇〇不動産は長男〇〇に相続させる」)。
- 家族へのメッセージや背景を記載することで、相続人の理解を得やすくする。
2. 財産の「見える化」
財産の内容を家族に共有することで、相続時の混乱を防ぎます。
方法
- 財産リストを作成し、現金、預貯金、不動産、有価証券、保険、負債などを記載。
- 定期的にリストを更新し、最新の情報を保持する。
- 信頼できる家族や専門家に財産の場所や内容を伝えておく。
3. 生前贈与を活用
財産の一部を生前に贈与することで、相続時の分配をスムーズに進めることができます。
生前贈与のメリット
- 相続時に遺産分割の対象となる財産を減らせる。
- 贈与を受ける相続人が納得しやすい。
贈与税の非課税枠
- 毎年110万円までの贈与は非課税(贈与税の基礎控除)。
- 特例贈与(住宅資金の贈与や教育資金の一括贈与)を活用することで、非課税枠を拡大可能。
注意点
- 生前贈与が特別受益として扱われる場合、相続時にトラブルとなる可能性があるため、事前に相続人間で共有しておくことが重要。
4. 共有財産の整理
不動産などの共有財産は、相続時に争いの原因となりやすいです。
対策
- 生前に不動産を売却して現金化する。
- 分割が難しい不動産は特定の相続人に譲り、他の相続人には代償金を支払う方法を検討する。
5. 生命保険を活用
生命保険の受取人を指定することで、特定の相続人に現金を分配することができます。
メリット
- 保険金は相続財産に含まれないため、迅速に受け取ることが可能。
- 遺産分割協議の対象外となるため、争いを防ぎやすい。
6. 相続人間での事前の話し合い
生前に相続人間で財産の分配方法について話し合いを行い、意見を調整することでトラブルを回避できます。
注意点
- 家族間の感情的な対立を避けるため、第三者(専門家)の同席を検討する。
- 遺留分に配慮した分配案を提示する。
7. 専門家への相談
相続は法律や税務が絡む複雑な手続きが多いため、弁護士や税理士など専門家に相談することが有効です。
専門家が提供するサポート
- 遺言書の作成支援
- 相続税対策のアドバイス
- 財産調査や評価
- 家族会議の進行サポート
生前対策のメリット
- 相続手続きがスムーズに進む
生前対策により、相続人間の意見の相違を減らすことができます。 - 家族関係の円満化
トラブルを未然に防ぐことで、家族関係を良好に保てます。 - 相続税の負担軽減
生前贈与や財産整理により、相続税負担を抑えることが可能です。
当事務所のサポート内容
当事務所では、相続トラブルを未然に防ぐための生前対策をトータルでサポートいたします。
提供サービス
- 遺言書作成支援:公正証書遺言の作成手続きや内容の相談。
- 生前贈与のアドバイス:贈与税や特別受益の取り扱いを考慮した計画。
- 財産調査とリスト作成:財産の把握をスムーズに進めるサポート。
- 家族会議の進行支援:第三者としての立場から、円滑な話し合いをサポート。
- 相続税対策:税理士と連携し、最適な節税プランを提案。