薬物犯罪での逮捕後の対応

薬物犯罪(覚醒剤、大麻、麻薬など)は、社会への影響が大きく、逮捕されると厳しい処罰が科される可能性があります。ただし、逮捕後の対応次第では、不起訴や減刑、再犯防止のための治療機会を得ることが可能です。

本記事では、薬物犯罪で逮捕された場合の具体的な対応策や注意点について詳しく解説します。

薬物犯罪の種類と刑罰

1. 覚醒剤について(覚醒剤取締法違反)

  • 所持・使用等:10年以下の懲役
  • 製造・輸出入:1年以上の有期懲役
  • 営利目的所持:1年以上の有期懲役または情状により500万円以下の罰金併科
  • 営利目的製造・輸出入:無期若しくは3年以上の懲役または1000万円以下の罰金併科

2. 大麻について(麻薬および向精神薬取締法違反・大麻草の栽培の規制に関する法律違反)

これまでの大麻取締法違反から改正され、栽培を規制する法律になりました。ですので、下記の大麻の所持・使用などの栽培に関する事項以外の事項については次の麻薬及び向精神薬取締法違反によるものとなります。

  • 所持・譲渡・譲受:7年以下の懲役
  • 使用:これまでは大麻の使用については刑事罰の対象となっていませんでしたが、令和6年12月12日から大麻の不正な使用が麻薬および向精神薬取締法違反として刑事罰の対象になりました。7年以下の懲役
  • 輸出入・製造・無免許での栽培:1年以上10年以下の懲役(営利目的の場合は1年以上の有期懲役または500万円以下の罰金併科。)

3. 麻薬について(麻薬および向精神薬取締法違反)

  • 所持・使用・譲渡・譲受:薬物の種類によって7年以下または10年以下の懲役
  • 製造・輸出入:薬物の種類によって1年以上10年以下または1年以上20年以下の懲役
  • いずれも営利目的の場合には刑が重くなっています。

逮捕後の流れ

1. 逮捕(最長48時間)

警察が逮捕後、捜査を行います。逮捕中は弁護士以外の面会が制限されます。

2. 送検と勾留(送検後24時間以内に勾留について判断)

検察官が起訴の必要性を判断します。裁判所が勾留を認めた場合、最長20日間拘束されます。

3. 起訴または不起訴の決定

検察官が証拠を基に、起訴するか不起訴とするかを判断します。

4. 裁判手続き

起訴された場合、刑事裁判が開始されます。

逮捕後の対応策

1. 弁護士の選任

逮捕後の最初の対応として、弁護士を依頼することが最重要です。弁護士は、取り調べへの対応や釈放の手続きなど、被疑者の権利を守る活動を行います。

弁護士が行うこと

  • 接見(面会)
    被疑者と直接会い、取り調べへの助言を行います。
  • 勾留回避の申立て
    勾留を回避し、早期釈放を目指します。

2. 取り調べでの注意点

取り調べでは、供述が裁判に大きな影響を与えます。

対応方法

  • 黙秘権を活用する
    不利になる可能性がある場合、黙秘権を行使します。
  • 嘘をつかない
    供述に矛盾が生じると、不利な状況を招く可能性があります。
  • 弁護士と相談する
    取り調べでの対応は弁護士の助言を受けて行います。

3. 薬物依存症の治療について考える

薬物犯罪では、再犯のリスクを低減するために治療を受けることが重要です。

治療のメリット

  • 裁判での情状酌量が期待できる。
  • 再犯防止の取り組みとして裁判官に評価される。

治療の方法

  • 専門医療機関での治療
    精神科や依存症治療施設でのカウンセリングや治療を受ける。
  • ダルク(DARC)などのリハビリ施設
    薬物依存症の更生をサポートする施設に通う。

4.  家族の協力体制を整える

家族が支援を表明することで、被疑者の社会復帰意欲が示され、裁判官の心証が良くなります。

協力内容

  • 保釈後の監督を約束する。
  • 更生支援や生活基盤の整備を行う。

減刑や不起訴を目指すためのポイント

1. 初犯であることを強調

初犯の場合、情状酌量の余地が大きいです。

2. 反省の態度を示す

  • 反省文を提出し、薬物使用を後悔していることを示します。
  • 治療や更生プランを具体的に提示します。

3. 証拠に基づく主張を行う

  • 所持や使用の事実が誤認である場合、証拠に基づいて無実を主張します。
  • 違法捜査(不当な家宅捜索や取り調べ)があれば指摘します。

4. 社会復帰計画を提示

裁判官に対し、再犯を防ぐための具体的な計画を示します。

弁護士に依頼するメリット

1. 適切な法的アドバイスを受けられる

弁護士が事件の状況を分析し、最適な対応策を提案します。

2. 早期釈放を目指す

弁護士が勾留回避の申立てを行い、早期釈放の可能性を高めます。

3. 裁判での適切な弁護活動

  • 証拠の不備や矛盾を指摘し、無罪や減刑を主張します。
  • 再犯防止策や情状酌量を求める弁護を行います。

4. 精神的負担の軽減

家族や本人の精神的負担を軽減し、冷静に対応できるようサポートします。

当事務所のサポート内容

当事務所では、薬物犯罪における以下のサポートを提供しています。

提供サービス

  1. 逮捕後の早期対応:取り調べ対応や勾留回避の申立てを迅速に行います。
  2. 依存症治療の支援:専門医療機関やリハビリ施設の紹介を行い、更生を支援します。
  3. 裁判での弁護活動:被告人に有利な主張を展開し、減刑や執行猶予の獲得を目指します。
  4. 示談交渉の代理:被害者がいる場合の示談交渉を円滑に進めます。

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