少年事件は成人事件とは異なり、少年法の規定に基づき、少年の健全な成長や更生を目指すことを目的としています。そのため、捜査や審判では更生の可能性や環境の改善が重視されます。
少年事件では、早期に弁護士を依頼して適切な対応を取ることが、少年の将来にとって重要です。
本記事では、少年事件における弁護活動の流れや具体的な対応について解説します。
このページの目次
少年事件の基本的な流れ
少年事件の手続きは、成人事件とは異なり、次のように進行します。
1. 逮捕・補導
- 少年が犯罪や非行を行った場合、警察が逮捕または補導します。
- 多くの場合、逮捕ではなく補導として扱われ、警察署で事情聴取が行われます。

2. 家庭裁判所への送致
- 14歳以上の少年が罪を犯した場合、警察や検察は原則として事件を家庭裁判所に送致します(全件送致主義)。
- 家庭裁判所は、少年の状況や事件の内容を審理します。

3. 家庭裁判所での調査
- 家庭裁判所調査官が少年や保護者の生活状況を調査し、更生の可能性を評価します。

4. 審判
- 家庭裁判所の審判で、少年の処遇を決定します。
- 審判の結果によって、不処分、保護観察、児童自立支援施設への送致、少年院送致などの処分が決まります。

5. 処分の執行
- 少年が審判で決定された処分に基づき、更生プログラムに取り組むことになります。
弁護活動の流れ
弁護士は、少年の健全な成長と更生を目指し、次のような活動を行います。
1. 初期対応(逮捕・補導時)
面会(接見)と少年へのアドバイス
- 少年が逮捕された場合、速やかに接見して状況を把握します。
- 少年に対して今後の手続きや取り調べでの注意点を説明します。
保護者への説明と指導
- 少年の保護者に現在の状況を説明し、家庭環境の改善に向けたアドバイスを行います。
勾留・観護措置への対応
- 勾留や観護措置(少年鑑別所に身柄がいきます)が必要ないことを裁判所に主張し、早期釈放を目指します。

2. 捜査段階での活動
取り調べ対応の指導
- 少年に対して、取り調べにおける供述内容や対応方法を助言します。
- 不利な供述を防ぎ、事実に基づいた正確な供述ができるよう指導します。
証拠の精査と収集
- 検察や警察が収集した証拠を精査し、不利な証拠への対応を準備します。
- 少年に有利な証拠(アリバイ、目撃証言など)を収集します。

3. 家庭裁判所送致後の活動(付添人活動)
調査官との連携
- 家庭裁判所調査官と連絡を取り、少年の生活状況や改善の取り組みを説明します。
- 更生のための環境を整え、調査官に少年の可能性を伝えます。
家庭環境の改善
- 少年が再犯に至らないよう、保護者に家庭内の監督体制を強化する方法を指導します。
- 必要に応じてカウンセリングや教育機関との連携を図ります。

4. 審判での活動(付添人活動)
少年の状況を主張
- 少年が反省していること、更生の意思を持っていることを裁判官に伝えます。
- 家庭環境や支援体制を整えていることをアピールし、軽い処分を求めます。
証拠に基づく主張
- 家庭裁判所にある証拠に誤りがあれば、弁護士がそれを指摘し、正しい事実関係を主張します。

5. 処分後のサポート
更生プランの提案と実施
- 少年が社会復帰できるよう、更生のためのプログラムを提案します。
- 保護観察中の支援や施設での指導を受けられるようサポートします。
家族のフォロー
- 保護者が家庭内での監督や支援を適切に行えるよう、具体的なアドバイスを提供します。
少年事件での注意点
1. 早期対応が重要
少年事件では、早期に弁護士が介入することで、観護措置の回避や軽い処分の獲得が可能になります。
2. 家庭環境の改善が鍵
家庭環境が改善されることで、少年の更生可能性が高まると判断され、保護観察や不処分が選ばれやすくなります。
3. 事実認定を正確に行う
事実と異なる供述や証拠が処分に影響を与えることを防ぐため、弁護士が証拠を精査し、適切に主張することが重要です。
4. 少年に寄り添った対応
少年が自らの行為を理解し、反省することが更生への第一歩となります。弁護士は少年の気持ちに寄り添いながら指導を行います。
弁護士に依頼するメリット
1. 手続きの適切なサポート
弁護士が法的な観点から適切な手続きを進め、少年に有利な結果を目指します。
2. 家庭裁判所調査官との連携
調査官とのやり取りを弁護士がサポートし、更生の可能性を裁判所に伝えます。
3. 再犯防止の支援
家庭環境の改善や更生プログラムの提案を通じて、再犯のリスクを減らします。
4. 少年の精神的負担を軽減
弁護士が手続きや取り調べの対応をサポートすることで、少年の不安や負担を軽減します。
当事務所のサポート内容
当事務所では、少年事件における以下のサポートを提供しています。
提供サービス
- 逮捕後の即時対応:少年や保護者に対して、迅速なアドバイスを行います。
- 家庭環境の改善支援:再犯防止のための家庭内支援体制を構築します。
- 家庭裁判所での付添人活動:審判で少年の更生可能性を強調し、適切な処分を目指します。