調停離婚とは、夫婦間で離婚条件について合意できない場合、家庭裁判所で調停委員を交えて話し合いを行い、合意を目指す離婚手続きです。
裁判による離婚を回避するための重要な手続きであり、調停委員という公平な第三者の仲介があるため、冷静に問題を解決しやすいのが特徴です。
本記事では、調停離婚の基本的な流れや注意すべきポイントについて解説します。
このページの目次
調停離婚とは?
調停離婚は、夫婦間の離婚協議による合意が難しい場合に家庭裁判所で調停を行い、離婚条件について合意を図る手続きです。話し合いが成立すれば、その内容を基に離婚が成立します。
調停離婚の特徴
- 家庭裁判所が関与
調停委員会が中立の立場から夫婦の間に入り、話し合いをサポートします。 - 柔軟な合意が可能
裁判と違い、法律だけでなく夫婦の事情や気持ちに配慮した合意が可能です。判決では出せないような結論を出すこともできます。 - 合意ができない場合には離婚が成立しない
双方が合意しない限り、調停は成立しません。不成立の場合は裁判に移行することになります。 - 合意の結果は判決と同様の効力を持つ
調停により合意に達した場合には、成立について調停調書が作成されます。成立した調停調書の記載には確定判決と同様の効力を持ちます。
調停離婚が選ばれる理由
- 協議離婚で合意できない場合。
- 感情的な対立で話し合いが困難な場合。
- 親権や養育費、財産分与など、条件が複雑な場合。
調停の流れ
1. 調停の申し立て
調停は、夫婦のどちらか一方が家庭裁判所に申し立てることで開始されます。
必要書類
- 調停申立書
- 夫婦の戸籍謄本
- 必要に応じて収入証明書や財産に関する資料
費用
- 収入印紙代(約1,200円)
- 郵便切手代(裁判所により異なるが数千円程度)
申し立て先
- 相手方の住所地を管轄する家庭裁判所が基本。

2. 期日の通知と準備
家庭裁判所から調停の日時が通知されます。通知を受けたら、当日に必要な資料や主張を整理します。
事前に準備すべきもの
- 離婚に関する自分の希望(親権、財産分与、養育費など)
- 具体的な証拠資料(収入証明書、不動産の登記簿謄本、通帳の写しなど)

3. 調停の実施
調停期日には、申し立て人と相手方が家庭裁判所に出頭し、調停委員を交えて話し合いを行います。
話し合いの流れ
- 夫婦が別々の部屋で調停委員と話し合う(原則)。
- 調停委員が双方の意見を聞き、合意点を見つけるために調整します。
- 話し合いは複数回にわたることが一般的です。
調停委員の役割
- 中立の立場で夫婦双方の意見を整理し、合意を促します。
- 法的な助言や妥当な解決案を提案します。

4. 調停成立
双方が離婚条件に合意すると、調停が成立し、調停調書が作成されます。この調書は裁判の判決と同じ法的効力を持ちます。
調停調書の効力
- 養育費や財産分与などの約束を守らない場合、調書を基に強制執行が可能です。

5. 調停不成立の場合
調停で合意できない場合は不成立となり、裁判離婚へ移行するか、一旦現状維持をするかなど今後の進行を検討していきます。
調停で話し合う主な項目
1. 財産分与
結婚生活で築いた財産をどのように分けるか話し合います。預貯金、不動産、退職金などが対象です。
2. 親権と養育費
未成年の子どもがいる場合、どちらが親権を持つかを決めます。また、養育費の金額や支払い方法についても取り決めます。
3. 慰謝料
不貞行為や暴力など、離婚の原因が一方にある場合、慰謝料の金額を話し合います。
4. 面会交流
子どもを監護しない親が子どもと会う頻度や方法を取り決めます。
調停離婚のポイント
1. 冷静に対応する
感情的になると話し合いが進まないことが多いため、冷静に主張することが大切です。
2. 事前に希望を明確にする
自分が譲れない条件や妥協できる範囲をあらかじめ整理しておきましょう。
3. 必要な証拠を準備する
親権や財産分与の交渉では、収入証明書や生活費の支出に関する記録が役立ちます。
4. 弁護士を活用する
法的なアドバイスを受けることで、調停を有利に進めることが可能です。
弁護士に依頼するメリット
1. 法律的な主張を代行
弁護士が代理人となることで、あなたの希望を法的に適切な形で主張できます。
2. 調停を有利に進める
証拠の準備や調停委員への説明がスムーズに行えます。
3. 精神的負担の軽減
弁護士が交渉を代行するため、感情的な対立を避けられます。
4. 不成立時の対応もサポート
調停が不成立となった場合も、裁判移行の準備を円滑に進められます。
当事務所のサポート内容
当事務所では、調停離婚における以下のサポートを提供しています。
提供サービス
- 調停申立ての手続き支援:必要書類の作成や家庭裁判所への提出をサポートします。
- 調停での代理人業務:あなたに代わって調停に出席し、主張を代行します。
- 条件交渉のサポート:親権や財産分与、養育費についての適切な条件を提案します。
- 調停不成立時の対応:裁判への移行準備や追加交渉のサポートを行います。