財産分与とは、離婚時に夫婦が婚姻期間中に築いた財産を分ける手続きです。財産分与には法律上のルールがあり、公平に分割することを目的としています。ただし、夫婦の状況や財産の種類によって取り決めが複雑になることもあります。
本記事では、財産分与の基本ルールや注意点について詳しく解説します。
このページの目次
財産分与の基本ルール
1. 対象となる財産
財産分与の対象は、夫婦が婚姻期間中に共同で築いた財産です。
主な対象財産
- 預貯金
夫婦名義やどちらか一方の名義の預貯金が含まれます。 - 不動産
住宅や土地などの不動産。評価額やローン残高が考慮されます。 - 退職金
婚姻期間中に相応する部分が対象。 - 株式や投資信託
婚姻中に購入した金融商品。 - 家具や車
高額な家財や車両も含まれます。
2. 対象外の財産
以下の財産は、基本的に財産分与の対象外です。
主な対象外財産
- 特有財産
婚姻前から持っていた財産や相続・贈与によって得た財産。
・例:結婚前に所有していた預金、親から相続した土地。 - 個人的な損害賠償金
交通事故などで受け取った慰謝料。
3. 分与割合
財産分与の原則は2分の1ルールです。夫婦が共同で築いた財産は、名義に関わらず半分ずつ分けるのが基本です。
特別な事情がある場合
- 夫婦の貢献度が著しく異なる場合、分割割合が変更されることもあります。
- 専業主婦夫などのように、自身が収入を得ておらず財産を築くことに貢献していないように思われるような場合であってもいわゆる内助の功として家庭の維持をもって配偶者の就労を支えていたものと捉え財産分与の割合は2分の1とするのが一般的です。
財産分与の方法
1. 話し合いによる合意
夫婦間で話し合い、財産分与の内容を決めるのが最もスムーズな方法です。
ポイント
- 話し合いの結果は書面に残す。
- 財産分与協議書を作成し、双方が署名・押印することで後のトラブルを防げます。
2. 調停や審判による解決
話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所で調停や審判を行います。
調停の特徴
- 調停委員が仲介して話し合いを進める。
- 双方が納得すれば調停調書が作成され、法的効力を持ちます。
審判の特徴
- 調停が不成立の場合、裁判官が審判により財産分与の内容を決定します。
財産分与の注意点
1. 財産の把握を徹底する
離婚時に全ての財産を明らかにすることが重要です。
隠し財産への対応
- 一方が財産を隠している場合、弁護士を通じて財産の調査を行うことができます。
- 口座の明細や資産リストを確認しましょう。
2. 負債も分配の対象となる
夫婦の共有財産に関連する負債(住宅ローンや借金)は、分与の対象となります。
対応方法
- 負債の名義人が誰かを確認。
- 負債が共有財産と無関係である場合、借りた本人が負担するのが基本。
3. 退職金の分割方法
退職金は、婚姻期間中に積み立てられた分が対象です。
分割のポイント
- 実際に退職金を受け取る時期を考慮する。
- 将来の受け取りを前提に財産分与を決定。
4. 公正証書の作成を検討する
財産分与の内容を公正証書にすることで、支払いが滞った場合に強制執行が可能となります。
5. 税金や費用に注意
財産分与の際に発生する税金や費用についても事前に確認しておきましょう。
主な税金・費用
- 不動産の名義変更:登録免許税や司法書士報酬が必要。
- 贈与税:財産分与が不当に高額である場合、贈与税の対象となる可能性。
財産分与をスムーズに進めるためのポイント
1. 早期に弁護士へ相談
法律や手続きに詳しい弁護士が、財産分与の適切なアドバイスを提供します。
2. 財産のリスト化
共有財産を明確にリスト化し、話し合いや調停での資料として使用します。
3. 冷静な話し合いを心がける
感情的な対立を避け、冷静に話し合うことがスムーズな解決につながります。
弁護士に依頼するメリット
1. 隠し財産の発見をサポート
財産の調査を通じて、隠し財産を明らかにします。
2. 公平な分割の実現
法律に基づいて、適切な分割割合を提案します。
3. 書類作成や手続き代行
財産分与協議書や公正証書の作成をサポートします。
4. トラブルを防止
後々の紛争を防ぐため、法的効力のある取り決めを行います。
当事務所のサポート内容
当事務所では、財産分与に関する以下のサービスを提供しています。
提供サービス
- 財産の調査・整理:共有財産の特定や隠し財産の発見をサポートします。
- 話し合い・調停のサポート:財産分与に関する交渉を代理し、公平な解決を目指します。
- 財産分与協議書の作成:トラブルを防ぐための文書作成を代行します。
- 裁判での代理人業務:話し合いがまとまらない場合の裁判手続きも対応します。