離婚慰謝料請求の条件とその相場

離婚に際して慰謝料を請求できるのは、配偶者の不法行為が原因で精神的苦痛を受けた場合です。

慰謝料は相手に対する制裁や精神的損害の賠償として請求されるものであり、請求が認められるためには一定の条件を満たす必要があります。また、慰謝料の金額はケースごとに異なりますが、一般的な相場があります。

本記事では、離婚慰謝料請求の条件とその相場について解説します。

離婚慰謝料を請求できる条件

慰謝料を請求するためには、以下の条件を満たす必要があります。

1. 法律上の不法行為があること

配偶者の行為が民法上の不法行為(違法で正当な理由がない行為)に該当する必要があります。

主な不法行為の例

  • 不貞行為(浮気・不倫)
    配偶者が異性と肉体関係を持った場合。
  • DV(ドメスティックバイオレンス)
    身体的・精神的な暴力や虐待。
  • モラルハラスメント
    言葉や態度による精神的な苦痛の強要。
  • 悪意の遺棄
    配偶者や子どもの扶養を放棄したり、理由なく家を出たりする行為。

2. 精神的苦痛を受けたこと

慰謝料は精神的苦痛に対する賠償であるため、苦痛の原因となる事実の存在を証明する必要があります。

精神的苦痛の例

  • 不倫が原因で家庭が崩壊した。
  • DVにより身体的・心理的な被害を受けた。
  • 悪意の遺棄により生活が困窮した。

3. 離婚の原因が相手にあること

慰謝料は上記の不法行為そのものに対するものとともに上記不法行為により離婚の原因を作り離婚に至ったことに対しても請求できます。

注意点

  • 離婚そのものについての慰謝料に関しては双方に離婚について責任がある場合、慰謝料が減額されることがあります。

離婚慰謝料の相場

慰謝料の金額は、ケースごとに異なりますが、以下の要素が考慮されます。

1. 不貞行為(浮気・不倫)の場合

  • 相場:100万円~300万円
    ・考慮要素としては、婚姻期間、不貞行為の回数、不倫交際の期間、子の有無・人数などがあります。
    ・不倫相手にも慰謝料を請求することが可能です。

2. DVやモラルハラスメントの場合

  • 相場:50万円~300万円
    ・暴力の程度や被害の深刻さ、治療費、子どもの人数などが考慮されます。
    ・長期間の虐待であれば金額が増える傾向があります。

3. 悪意の遺棄の場合

  • 相場:50万円~200万円
    ・遺棄の期間や生活に与えた影響によって金額が変動します。

4. 精神的苦痛の程度

  • 精神的被害が深刻であれば慰謝料は増加します。
    ・治療が必要な場合:50万円~200万円の増額が見込まれる。

慰謝料請求の方法

慰謝料を請求するためには、適切な手続きを行う必要があります。

1. 話し合い(協議)

  • 配偶者と直接交渉して慰謝料を請求します。
  • 交渉内容は必ず書面に残します(示談書や公正証書を作成)。

2. 調停の申し立て

  • 話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所で行う離婚調停の中で慰謝料についても調整を行います。
  • 第三者(調停委員)を交えて解決を目指します。

3. 訴訟(裁判)の提起

  • 調停が不成立の場合、離婚訴訟の附帯請求として慰謝料請求を進めることができます。
  • 裁判では証拠の提出が重要です。

慰謝料請求時に必要な証拠

慰謝料請求を成功させるためには、証拠が重要な役割を果たします。

1. 不貞行為の証拠

  • 浮気相手とのLINEやメールのやり取り
  • ラブホテルの領収書や写真
  • 探偵の調査報告書

2. DVやモラハラの証拠

  • 医師の診断書
  • 暴言や暴力の録音・動画
  • 警察への通報記録や相談履歴

3. 悪意の遺棄の証拠

  • 別居開始日を示す記録
  • 養育費や生活費の未払いを示す通帳の記録
  • 配偶者からの連絡拒否の証拠

慰謝料請求の注意点

1. 証拠の確保が不可欠

証拠がない場合、裁判で請求が認められない可能性があります。事前にしっかりと証拠を収集しましょう。

2. 時効に注意

慰謝料請求には時効があります。

  • 離婚後:3年以内に請求する必要があります。(身体的DVの場合には時効期間が5年となります。)

3. 不倫相手への請求は慎重に

不倫相手に慰謝料を請求する場合、既婚者であることを知らなかった場合など、免責される可能性があります。

4. 交渉内容を文書化する

示談や調停で合意した内容は必ず書面に残し、法的効力を持たせることが重要です。

弁護士に依頼するメリット

1. 適切な慰謝料額を算定

弁護士が法律に基づき、妥当な慰謝料額を算定します。

2. 証拠の整理と提出

弁護士が証拠を整理し、請求の根拠を明確にします。

3. 交渉を代行

感情的な対立を避け、弁護士が冷静に交渉を進めます。

4. 裁判での法的主張

訴訟に移行した場合も、弁護士が適切に主張し、有利な結果を目指します。

当事務所のサポート内容

当事務所では、離婚慰謝料請求に関する以下のサービスを提供しています。

提供サービス

  • 慰謝料請求の相談:あなたの状況を詳細にヒアリングし、最適な解決策を提案します。
  • 証拠収集のサポート:必要な証拠の収集方法をアドバイスします。
  • 示談交渉の代理:相手との交渉を代行し、妥当な金額を確保します。
  • 調停・裁判での代理人業務:調停や裁判での手続きを全面的にサポートします。

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