DV(ドメスティックバイオレンス)、モラルハラスメント(モラハラ)、性格の不一致は、離婚を考える大きな要因となります。これらの理由で離婚を進める場合、精神的・身体的な負担を軽減し、適切な法的対応を取ることが重要です。
本記事では、それぞれの状況に応じた離婚手続きの進め方や注意点について解説します。
このページの目次
1. DV(ドメスティックバイオレンス)の場合
DVとは?
DVは配偶者やパートナーからの身体的暴力や精神的虐待を指します。典型的な例としては、殴る・蹴るなどの暴力、経済的な支配、人格否定や罵倒などがあります。
DVが理由で離婚を考える際のポイント
① 安全の確保が最優先
DVの場合、離婚手続きを進める前に、被害者自身と子どもの安全を確保することが最も重要です。
- 転居:配偶者の知らない住所へ転居する。警察や福祉機関が提供するシェルターに避難することも検討する。
- 警察への相談:暴力が続く場合、警察へ通報し、保護を依頼する。
- 保護命令の申立て:管轄地方裁判所で「保護命令」を申し立てることで、相手に接近禁止などを命じることができます。
② 証拠の収集
DVを理由に離婚するには、暴力の事実を証明する証拠が必要です。
- 医師の診断書:身体的暴力の傷害を示す診断書。
- 写真や録音:暴力や暴言の記録。
- 警察や相談機関の記録:相談や通報の履歴。
③ 慰謝料請求
DVによる精神的・身体的な被害について、加害者に慰謝料を請求できます。慰謝料の相場は100万~300万円程度が一般的です。
離婚手続きの進め方
- 協議離婚:話し合いが可能であれば協議離婚を目指します。ただし、DV加害者との直接交渉は危険なため、弁護士に依頼することを検討してください。
- 調停離婚:話し合いが困難な場合、家庭裁判所で調停を申し立てます。
- 裁判離婚:調停で解決しない場合は裁判に進みます。
2. モラハラ(モラルハラスメント)の場合
モラハラとは?
モラハラは、言葉や態度で相手を傷つける精神的な虐待を指します。典型的な例としては、「お前はダメな人間だ」「誰もお前を必要としない」といった人格否定や無視、威圧的な態度などがあります。
モラハラが理由で離婚を考える際のポイント
① 証拠の収集
モラハラを理由に離婚する場合、以下の証拠が有効です。
- 録音・録画:相手の暴言や脅迫を記録する。
- 日記やメモ:モラハラの内容や日時を詳細に記録する。
- メールやSNSのメッセージ:相手からの攻撃的な内容を保存する。
② 第三者への相談
モラハラは証拠が曖昧になりがちなため、相談機関や医師の診断書など客観的な記録が有用です。
- 心療内科の診断書:モラハラによる精神的影響を示す診断書。
- 相談記録:行政機関やカウンセラーへの相談内容。
離婚手続きの進め方
- 協議離婚:証拠を提示しつつ、相手と話し合いで離婚条件を決めます。
- 調停離婚:話し合いが難しい場合、家庭裁判所で調停を申し立てます。
- 裁判離婚:調停が不成立の場合、裁判で離婚を争います。
3. 性格の不一致の場合
性格の不一致とは?
性格の不一致とは、夫婦が価値観や考え方の違いによって関係が悪化し、修復が困難な状態を指します。具体的な例としては、生活習慣の違い、コミュニケーション不足、金銭感覚の相違などがあります。
性格の不一致が理由で離婚を考える際のポイント
① 双方の合意が重要
性格の不一致は法律上の明確な離婚原因とは認められない場合が多いため、双方の合意が鍵となります。
② 婚姻関係が破綻していることの証明
裁判で離婚を求める場合、以下を証明する必要があります。
- 長期間の別居
- 夫婦関係が修復不能な状態であること
離婚手続きの進め方
- 協議離婚:話し合いで双方が納得すればスムーズに離婚可能。
- 調停離婚:話し合いがまとまらない場合、調停で解決を目指します。
- 裁判離婚:調停不成立の場合、裁判で婚姻関係の破綻を主張します。
離婚手続きの共通ポイント
1. 慰謝料請求
- DV・モラハラの場合、精神的苦痛に対する慰謝料を請求可能です。
- 性格の不一致の場合、慰謝料は通常発生しません。
2. 財産分与
- 離婚時、婚姻期間中に築いた財産は2分の1ずつ分けるのが原則です。
- 不動産や退職金なども対象になります。
3. 親権と養育費
- 未成年の子どもがいる場合、親権をどちらが持つかを決めます。
- 養育費は親権を持たない側が支払う義務があります。
弁護士に依頼するメリット
1. 安全な離婚手続き
DVやモラハラの場合、弁護士が間に入ることで直接の交渉を避け、安全に手続きを進められます。
2. 適切な証拠収集のサポート
弁護士が有効な証拠を整理し、法的に認められる形で提出します。
3. 慰謝料や財産分与の交渉代行
弁護士が法律に基づいて交渉を進め、不当な条件を避けられます。
4. 裁判での適切な主張
裁判になった場合、弁護士が効果的な主張を行い、有利な結果を目指します。
当事務所のサポート内容
当事務所では、DV・モラハラ・性格の不一致を理由とする離婚について、以下のサービスを提供しています。
提供サービス
- 安全確保のアドバイス:DVやモラハラの場合、安全に手続きを進めるための具体的な方法を提案します。
- 証拠収集のサポート:離婚理由を裏付ける証拠を整理し、法的に有効な形で収集します。
- 離婚条件の交渉代行:財産分与、慰謝料、親権、養育費などの条件を有利に交渉します。
- 調停・裁判での代理:家庭裁判所での調停や裁判手続きを全面的にサポートします。