刑事事件で不起訴処分を得ることができれば、正式な裁判を避け、前科を残さずに事件を解決できます。不起訴を目指すためには、早期に弁護活動を開始し、適切な対策を講じることが重要です。
本記事では、不起訴を目指すための弁護活動の具体的な方法や注意点を解説します。
このページの目次
不起訴処分の種類
不起訴には主に以下の2種類があります。
1. 嫌疑なし・嫌疑不十分
- 事件に関与した証拠がなく、容疑が晴れる場合や事件への関与の可能性はあるものの有罪立証に必要な証拠がなく公判の維持が困難と考えられる場合。
2. 起訴猶予
- 事件について有罪と認定するのに十分な証拠がそろっているものの、事件の軽微さ、被害感情や示談状況などから公判請求を行わない場合。
不起訴を目指すための弁護活動
不起訴を獲得するためには、事件の性質や状況に応じた弁護活動が必要です。
1. 事実関係の確認と証拠の精査
取り調べに対する対応
- 黙秘権の行使
不利な供述を防ぐため、必要に応じて黙秘権を活用します。 - 正確な供述
事実と異なる供述や曖昧な発言は避け、弁護士の指導を受けて正確に対応します。
証拠の確認
- 警察や検察が提示する証拠を弁護士が精査し、不備や矛盾点を検討します。
- アリバイや目撃証言、防犯カメラ映像など、被疑者にとって有利に働く可能性のある証拠を収集します。
2. 被害者との示談交渉
示談は不起訴処分を目指す上で非常に重要です。被害者の被害感情を和らげることで、検察官が不起訴を選択する可能性が高まります。
示談の進め方
- 弁護士が被害者と交渉
被疑者本人が直接交渉するとトラブルを招く可能性があるため、弁護士が仲介します。 - 謝罪と賠償の提案
被害者の損害や精神的苦痛に見合う謝罪と賠償を行います。 - 示談書の作成
示談内容を法的に有効な書面として残します。
示談が成立する効果
- 被害者が処罰を求めない場合、不起訴になる可能性が高まります。
- 示談成立は裁判官の心証を良くし、量刑軽減にもつながります。
3. 情状弁護を行う
反省の態度を示す
- 反省文の提出
被疑者が事件を深く反省していることを裁判所や検察官に伝えます。 - 再発防止策の提示
再発防止のための具体的な取り組みを示します(依存症治療の受診、交通講習の受講など)。
更生の努力を示す
- 職場や家族からの支援
被疑者が更生できる環境が整っていることをアピールします。 - 社会的貢献の姿勢
ボランティア活動や地域貢献の計画を提示します。
4. 違法捜査や手続きの不備を指摘
捜査機関が違法な取り調べや手続きの懈怠があった場合、それを指摘することもあります。
例
- 違法な証拠収集:適切な手続きを踏まずに集めた証拠は無効となる場合があります。
- 取り調べの強要:暴言や威圧的な取り調べがあれば、弁護士を通じて抗議します。
5. 犯罪傾向がないことを強調
初犯などであり、再犯の可能性が低い場合、不起訴や軽い処分を得やすくなります。弁護士が初犯であることや被疑者の性格、家庭環境を詳細に伝えます。
不起訴を目指す場合の注意点
1. 早期に弁護士を依頼する
逮捕後の対応が遅れると、供述や証拠の精査が不十分となり、不利な状況に陥る可能性があります。早期に弁護士を依頼することで、適切な弁護活動を進めることが可能です。
2. 被害者との直接接触を避ける
被疑者本人が被害者と接触することはトラブルの元となります。必ず弁護士を通じて示談交渉を行いましょう。
3. 取り調べで不用意な発言をしない
不利な供述が証拠として残ることを避けるため、弁護士の助言を受けて取り調べに対応することが重要です。
4. 違法行為をしない
証拠隠滅や逃亡を図ると、不起訴の可能性が低くなるばかりか、処罰が重くなります。
不起訴が期待できる状況
1. 被害者との示談が成立している
示談書に加えて、被害者が不起訴を求める意向を示している場合、不起訴となる可能性が高まります。
2. 事件の証拠が不十分である
検察官が有罪を立証する証拠が不足している場合、不起訴となることがあります。
3. 被疑者が深く反省している
再犯防止の取り組みが評価される場合、不起訴処分を得やすくなります。
弁護士に依頼するメリット
1. 早期解決を目指せる
弁護士が捜査機関や検察官と交渉し、不起訴処分を迅速に得るための活動を行います。
2. 示談交渉を円滑に進める
弁護士が被害者との交渉を代理し、トラブルなく示談を成立させます。
3. 供述内容の慎重な管理
弁護士が取り調べ前後に指導を行い、不利な供述を防ぎます。
4. 証拠の精査と反論
弁護士が証拠を詳細に分析し、不利な状況を改善するための主張を展開します。
当事務所のサポート内容
当事務所では、不起訴処分を目指すための以下のサポートを提供しています。
提供サービス
- 取り調べ対応の指導:取り調べへの具体的なアドバイスを行います。
- 証拠の精査と収集:無実や減刑を証明するための証拠を収集します。
- 被害者との示談交渉:示談成立を目指し、円滑な交渉を進めます。
- 情状弁護の準備:被疑者の反省や更生意欲を伝えるための資料を作成します。