面会交流権とは、離婚後に子どもを監護しない親が子どもと会う権利のことです。この権利は子どもの健全な成長や親子関係の維持にとって重要であり、日本では法律上認められています。しかし、離婚後の感情的な対立などから面会交流をめぐるトラブルが生じることもあります。
本記事では、面会交流の基本、取り決め方法、注意点について詳しく解説します。
このページの目次
面会交流の基本
1. 面会交流の目的
面会交流は、親子の関係を維持し、子どもの健全な成長を支えるために認められています。
主な目的
- 親子間の絆を保つ
- 子どもが愛情を実感する
- 子どもの心理的な安定を図る
2. 面会交流の対象
- 面会交流について権利として認められているのは親だけであり、祖父母については権利として面会交流が認められるものではありません。ただし、親と子との面会交流の際に祖父母が同席して面会交流をもつことができる場合もあります。
- 子どもが心理的負担を感じる場合や親の暴力が関与している場合は、制限されることもあります。
面会交流の取り決め方法
1. 協議による取り決め
夫婦間で話し合い、面会交流の内容を合意します。
話し合いで決めるポイント
- 面会の頻度(例:月1回、隔週)
- 面会の方法(直接会う、オンラインで交流する)
- 面会の時間(例:午前10時~午後3時)
- 子どもの引き渡し場所や手段(例:公園、駅、学校)
- 連絡方法(メールやLINEなど)
メリット
- 柔軟に取り決めが可能。
- 両親が納得しやすい。
2. 家庭裁判所の調停による取り決め
話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の調停を通じて解決を目指します。
調停の流れ
- 家庭裁判所に調停を申し立てる。
- 調停委員を交えて話し合いを進める。
- 調停で合意に至れば、調停調書が作成される。
3. 審判による取り決め
調停が不成立の場合、裁判官が最終的な判断を下します。
審判のポイント
- 子どもの福祉が最優先されます。
- 子どもの意思(年齢や精神状態による)も考慮されます。
面会交流の注意点
1. 子どもの福祉を最優先に
面会交流の目的は子どもの利益を守ることです。親の感情や利益を優先してはいけません。
面会交流が制限される場合
- 面会が子どもに心理的負担を与えるとき。
- 面会中に暴力や脅迫が行われる可能性があるとき。
- 子どもの安全や健康が脅かされるとき。
2. 取り決めを文書化する
面会交流の条件を明確にするために、取り決め内容を文書に残します。
- 例:公正証書や調停調書
メリット
- トラブル防止
- 取り決めを守らない場合に法的対応が可能
3. 柔軟な対応を心がける
子どもの都合や成長に合わせて面会交流の条件を調整することも重要です。
例
- 学校行事や習い事のスケジュールに配慮。
- 子どもが成長した場合、面会頻度や時間を見直す。
面会交流を実現するためのトラブル対応
1. 面会交流を拒否された場合
面会交流を正当な理由なく拒否された場合、家庭裁判所に申し立てることで履行を求めることが可能です。
解決方法
- 履行勧告:家庭裁判所が相手に面会交流の履行を促します。
- 履行命令:家庭裁判所が命令を出し、違反者には制裁が科される可能性があります。
2. 面会交流の条件を変更したい場合
子どもが成長して頻回の面会が困難となってきた場合など面会交流の条件を変更したい場合には、再度面会交流の調停を申し立てるなどして変更を求めることができます。
変更の理由となる例
- 子どもの進学などでそれまでの面会交流の頻度を保てなくなった。
- 面会交流が子どもにとって精神的苦痛になっている。
3. 面会交流を無理に進めない
子どもが面会を嫌がる場合、無理に進めることは避けるべきですが、可能な限り面会交流を実施できるべく子どもへの働きかけが必要です。その際にも子どもの感情に寄り添い、徐々に親子関係を修復するアプローチを検討します。
弁護士に依頼するメリット
1. 適切な取り決めのサポート
弁護士が面会交流の条件を整理し、公正で現実的な取り決めを提案します。
2. 文書作成の支援
取り決め内容を公正証書や合意書として文書化し、法的効力を持たせることができます。
3. トラブル対応の代理
面会交流の履行拒否や条件変更のトラブルが生じた場合、家庭裁判所での申し立てを代行します。
4. 子どもの福祉を最優先にした助言
感情的な争いではなく、子どもの利益を守るための適切なアドバイスを提供します。
当事務所のサポート内容
当事務所では、面会交流に関する以下のサポートを提供しています。
提供サービス
- 面会交流条件の交渉支援:両親の希望と子どもの利益を踏まえた条件を提案します。
- 調停や審判での代理人業務:家庭裁判所での調停や審判手続きを全面的にサポートします。
- 文書作成の支援:面会交流の取り決め内容を公正証書や調停調書として作成します。
- 履行問題への対応:面会交流の拒否や変更が発生した場合、迅速に対応します。