交通事故による損害を受けた場合、適切な損害賠償を請求することで、治療費や修理費、慰謝料などの補償を受けることができます。請求の流れを理解し、スムーズに手続きを進めるためのポイントを解説します。
このページの目次
損害賠償請求の基本的な流れ
1. 交通事故発生直後の対応
事故発生後の適切な対応が、損害賠償請求を有利に進めるための第一歩です。
- 警察に連絡する
交通事故証明書を取得するため、必ず警察に通報してください。届け出を怠ると保険金請求ができない場合があります。 - 証拠の収集
現場写真や相手の車両番号、運転免許証の情報を記録します。 - 医療機関を受診する
怪我の有無にかかわらず、病院で診察を受け、診断書を取得します。

2. 保険会社に連絡する
自分の加入している保険会社に事故の詳細を報告し、今後の対応を相談します。
- 自賠責保険
全ての車両に加入が義務付けられている基本的な保険で、人身損害に対して補償が行われます。 - 任意保険
自賠責保険で賄いきれない損害(物的損害や高額な人身損害)を補償します。

3. 損害内容の確認と計算
請求する損害の内容を確認し、適切な補償額を計算します。
損害賠償の対象となる主な項目(この項目以外のものも対象となることはあります。)
- 人身損害
・治療費:診察料、入院費、手術費、リハビリ費用など。
・休業損害:事故によって収入が減少した場合の補償。
・慰謝料:精神的苦痛に対する賠償。
・後遺障害慰謝料:後遺症が残った場合の特別な慰謝料。
・逸失利益:後遺症が原因で将来の収入が減少する場合の補償。
- 物的損害
・車両修理費:修理にかかる費用。
・代車費用:修理期間中の代車利用費用。
・財物損害:壊れた物品(スマートフォン、メガネなど)の補償。

4. 損害賠償請求書の提出
損害の内容をまとめた損害賠償請求書を作成し、加害者側またはその保険会社に提出します。
損害賠償請求書の作成に必要な書類
- 診断書・診療明細書:治療内容や費用を証明するための書類。
- 休業損害証明書:勤務先から発行される収入減少の証明書。
- 修理見積書:車両や物品の修理費用を示す書類。
- 交通事故証明書:警察が発行する事故発生の証明書。

5. 示談交渉
損害賠償請求書を基に、加害者側やその保険会社と示談交渉を行います。
示談交渉のポイント
- 提示された賠償額に納得できない場合は交渉を継続する。
- 保険会社との交渉には、弁護士を代理人として依頼することで有利に進められることがあります。
- 示談が成立すると、原則としてそれ以上の請求ができなくなるため、慎重に判断することが重要です。

6. 調停または裁判による解決
示談交渉がまとまらない場合、以下の手段を検討します。
- 調停
簡易裁判所での調停手続きにより、双方の合意を目指します。 - 裁判
地方裁判所で損害賠償請求訴訟を提起します。裁判では、証拠や証言に基づき公正な判断が下されます。
損害賠償請求の注意点
1. 時効に注意
交通事故の損害賠償請求には以下の時効があります。
- 人身事故:事故発生日の翌日から5年。後遺障害については症状固定日の翌日から5年となります。
- 物損事故:事故発生日の翌日から3年。
- いずれの場合も加害者が判明しない場合には事故発生日の翌日から20年となります。(ひき逃げ事件などの加害者が特定できないようなケースです。途中で加害者が特定できた場合には、特定できた日の翌日からそれぞれの時効がスタートします。)
2. 診断書と通院記録をしっかり残す
適切な治療を受け、診断書や通院記録を残しておくことで、請求金額を正当化できます。
3. 弁護士特約の活用
自分の保険に「弁護士特約」が付帯されている場合、示談交渉や訴訟費用をカバーすることができます。
当事務所のサポート内容
当事務所では、交通事故の損害賠償請求をスムーズに進めるためのサポートを提供しています。
提供サービス
- 示談交渉の代理:保険会社との交渉を代行し、適正な賠償金を獲得します。
- 損害額の計算:損害賠償額の正確な計算を行い、請求書作成をサポートします。
- 後遺障害認定のサポート:必要な証拠を収集し、適正な後遺障害等級の認定を目指します。
- 裁判手続きの代理:示談が成立しない場合の訴訟対応も対応可能です。