協議離婚は、夫婦が話し合いによって離婚条件を合意し、離婚届を提出することで成立する離婚の方法です。日本では離婚全体の約88%を占める一般的な形態ですが、話し合いが不十分だと後にトラブルが発生することもあります。
この記事では、協議離婚の進め方や手続きの流れ、注意点について詳しく解説します。
このページの目次
協議離婚の基本的な流れ
1. 話し合いの準備
離婚に向けた話し合いをスムーズに進めるために、事前に準備を行います。
確認すべきポイント
- 離婚の意思が夫婦双方にあるか
- 取り決めが必要な項目(財産分与、慰謝料、親権、養育費など)
相談先
- 家族や友人など身近な人
- 弁護士や離婚カウンセラー

2. 離婚条件の話し合い
離婚に合意するために、以下の項目について夫婦間で話し合います。
主な取り決め事項
- 財産分与
結婚生活で築いた財産をどのように分けるかを決定します。
・預貯金、不動産、車、退職金などが対象。
・原則として2分の1ずつが基本ですが、事情により異なることもあります。 - 慰謝料
離婚の原因が一方にある場合、精神的苦痛に対する賠償金を請求できます。
・不貞行為や暴力(DV)がある場合が対象。 - 親権
未成年の子どもがいる場合、どちらが親権を持つかを決めます。親権者の定めは離婚において必ず決めることが要求されるものです。それ以外の財産分与・慰謝料などについては離婚成立後であっても決めることができます。
・令和6年の民法改正で共同親権制度が定められましたが、令和8年5月までに施行されるまでは、親権は父親・母親のどちらか一方しか持てません。 - 養育費
子どもを監護しない側が、子どもの養育費を負担します。
・支払額は夫婦の収入や子どもの年齢に応じて決定。 - 面会交流
子どもを監護しない側が子どもと面会する権利について取り決めます。 - 婚姻費用の分担
別居していたり、生活費の負担がなされていない場合などには離婚が成立するまでの生活費をどのように負担するかを決めます。
注意点
- 口頭の約束だけでなく、必ず書面に残す(後述の「離婚協議書」を作成)。
- 話し合いが難航する場合は弁護士や調停を活用。

3. 離婚協議書の作成
話し合いの内容を文書にまとめることで、トラブルを防ぎます。
離婚協議書のポイント
- 書面に残す理由
後々のトラブルを防ぎ、約束内容を証明するため。 - 公正証書にする場合
養育費や慰謝料などの金銭的な権利関係が生じる場合、公証役場で公正証書として作成すると強制執行が可能となるなどの法的な強制力が得られます。

4. 離婚届の記入と提出
話し合いがまとまったら、離婚届を役所に提出します。
離婚届の記入項目
- 夫婦双方の署名・押印
- 未成年の子どもがいる場合は親権者の記載
- 証人欄の記入(20歳以上の証人2名が必要)
提出先
- 本籍地または住所地の市区町村役場
必要書類
- 離婚届
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 戸籍謄本(本籍地以外で提出する場合)
離婚の成立
役所が受理した時点で離婚が成立します。
協議離婚のメリットとデメリット
メリット
- 手続きが簡単で迅速
離婚届を提出するだけで成立するため、費用や時間を抑えられます。 - 話し合いで柔軟に決定できる
財産分与や養育費などを夫婦間で自由に決められます。
デメリット
- 合意が難しい場合がある
感情的な対立があると話し合いが進まないこともあります。 - 取り決めが曖昧だと後でトラブルになる
書面に残さなかった場合、後から約束が守られないことがあります。
協議離婚を進める際の注意点
1. 感情的にならない
感情的な対立は話し合いを難航させます。冷静に対応しましょう。
2. 子どもの利益を最優先に考える
親権や養育費の取り決めでは、子どもの生活環境や将来を第一に考えることが重要です。
3. 専門家の助言を受ける
複雑な条件交渉や法的な書類作成が必要な場合、弁護士や離婚カウンセラーに相談することでスムーズに進められます。
4. 書面に残す
口頭での約束は後から否認される可能性があるため、合意内容を必ず文書化しましょう。
弁護士に依頼するメリット
1. 公正な条件交渉ができる
弁護士が夫婦双方の権利を踏まえた条件交渉を行います。紛争化している場合には、依頼者の利益を最大化するための交渉が期待できます。
2. 法律的なトラブルを防げる
法的知識に基づいて離婚協議書を作成し、後々のトラブルを防ぎます。
3. 精神的負担を軽減
弁護士が代理で交渉を進めるため、感情的な衝突を避けられます。
4. 迅速な解決をサポート
専門家の助言により、時間や手間を省いて離婚手続きを進めることが可能です。
当事務所のサポート内容
当事務所では、協議離婚に関する以下のサポートを提供しています。
提供サービス
- 離婚条件の交渉支援:財産分与、慰謝料、養育費などの条件を最適な形で取り決めます。
- 離婚協議書の作成:確実で法的効力のある協議書を作成します。
- トラブル回避のアドバイス:冷静かつ合理的に話し合いを進める方法をアドバイスします。
- 公正証書化の手続き支援:養育費や慰謝料の支払いを確保するため、公正証書の作成をサポートします。