裁判離婚は、調停や話し合いで離婚条件がまとまらない場合、裁判所で離婚を争う手続きです。離婚裁判では、主に法律に基づく「離婚原因」の有無や親権者の定めが争点となり、裁判所が最終的に離婚の可否や条件を判断します。裁判離婚は精神的・経済的負担が大きいため、適切な準備と対策が欠かせません。
本記事では、裁判離婚に備えるための準備と対策について解説します。
このページの目次
裁判離婚の基本情報
1. 裁判離婚の特徴
- 法律に基づく離婚原因が必要
離婚原因が法律で定められており、これを証明する必要があります。 - 裁判所が離婚や紛争となっていた離婚条件について判断
夫婦双方が合意しなくても、裁判所の判決で離婚が認められる場合があります。また、親権者や財産分与・慰謝料の内容など合意できなかった事項について裁判所が判決により定めることになります。
2. 離婚原因(民法770条1項)
裁判離婚が認められる法定離婚原因は以下の通りです。
離婚原因一覧
- 配偶者に不貞行為があった場合
- 配偶者から悪意で遺棄された場合(正当な理由なく同居や扶養を拒否)
- 配偶者の生死が3年以上明らかでない場合
- 配偶者が回復の見込みのない強度の精神病にかかった場合
- その他、婚姻を継続しがたい重大な理由がある場合(DVや相当期間の別居など)
例外的なケース
- 有責配偶者(離婚原因を作った側)からの請求
長期間別居している場合や、相手の生活を著しく脅かさない場合など、特別な事情で認められる場合があります。
裁判離婚の準備
1. 離婚原因の証拠収集
裁判で離婚を認めてもらうには、離婚原因を立証する証拠が必要です。
主な証拠
- 不貞行為の証拠
・浮気相手とのメールやSNSのやり取り
・探偵による調査報告書
・写真や動画 - DV(家庭内暴力)の証拠
・医師の診断書
・録音データ
・警察への相談記録

2. 主張を整理する
裁判では、離婚の必要性を論理的に説明する必要があります。弁護士とともに、次のような内容を整理します。
- 離婚原因の詳細
いつ、どのような理由で問題が発生したのか。 - 相手とのやり取り
離婚の話し合いや調停でのやり取りの内容。 - 具体的な請求内容
慰謝料、財産分与、養育費、親権などの条件。

3. 裁判費用の準備
離婚裁判には一定の費用がかかるため、事前に準備が必要です。
主な費用
- 弁護士費用
・着手金
・成功報酬 - 裁判所への費用
・訴状提出時の収入印紙(1,200円~数万円)(金銭請求の内容により増減します。)
・郵便切手(裁判所の指示に従う)

4. 弁護士の依頼
離婚裁判では法的知識が欠かせないため、経験豊富な弁護士に依頼することで、スムーズに進められます。
裁判離婚の流れ
1. 訴状の提出
- 原告(離婚を求める側)が家庭裁判所に訴状を提出します。
- 訴状には、離婚原因や請求内容を記載します。

2. 答弁書の提出
- 被告(訴えられた側)は、裁判所から送られた訴状に対する答弁書を提出します。
- 自身の主張や反論を記載します。

3. 裁判手続き
裁判官の指揮の下、証拠や主張を基に審理が行われます。
主な手続き
- 証拠提出
離婚原因を証明する証拠を提出します。 - 尋問
原告、被告双方や証人などに対して必要に応じて尋問が実施されます。

4. 和解の試み
裁判中でも和解が試みられることがあります。条件に合意できれば、裁判を終了して和解離婚が成立します。裁判所から具体的な和解案が提案されることもあります。

5. 判決
和解が成立しない場合、裁判官が離婚の可否や条件について判決を下します。
裁判離婚の対策
1. 冷静に対応する
裁判では感情的な主張ではなく、法律や証拠に基づく冷静な主張が求められます。
2. 証拠を徹底的に準備する
裁判所が納得できる証拠を用意することで、有利に進めることができます。
3. 相手の主張に反論する
相手から不利な主張があった場合は、弁護士とともに論理的に反論します。
4. 子どもの利益を最優先に考える
親権や養育費について争う際は、子どもの生活や福祉を最優先に主張します。
弁護士に依頼するメリット
1. 専門的な法的アドバイス
弁護士が離婚原因や請求内容に応じた適切なアドバイスを行います。
2. 裁判手続きの負担を軽減
書類作成や証拠収集、裁判での主張を弁護士が代行します。
3. 適切な証拠提出と反論
弁護士が法律に基づいて証拠を整理し、相手の主張に反論します。
4. 精神的サポート
裁判は精神的に大きな負担がかかりますが、弁護士が寄り添いサポートします。
当事務所のサポート内容
当事務所では、裁判離婚における以下のサービスを提供しています。
提供サービス
- 離婚原因の証拠収集支援:不貞行為やDVの証拠を整理・収集します。
- 訴状や答弁書の作成:裁判に必要な書類を正確かつ迅速に作成します。
- 裁判での代理人業務:あなたに代わり裁判に出廷し、主張を代行します。
- 和解の交渉支援:裁判中でも和解が可能な場合、柔軟な交渉を行います。